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悪魔のクソなんて言われるヒングは本当に臭いのか?料理にも使ってみた

はいどうも、カリーチャクラです!
今回のテーマはスパイスのヒングについてです。

最近のカレーブームとやらで、徐々に注目をされ始めているスパイスがヒング。私がインド料理を始めたころには「悪魔のクソ」なんて言われたりしていました。
たまにメディアで紹介されても「うわ~くっせ~」なんてゲテモノ扱いレポーターがくさや的な大げさリアクションを取ったりしていて、そんなでもないよな~なんて内心思っていたものだ。
そうね~。例えるとしたら外国人に納豆や梅干しを食わせてリアクションを欲しがっているみたいなもんかな。浅はかですよね。
それが今となっては、炒めるといい香りに変わります~みたいな対応。ふ~んって感じ。
最近では日本人もスパイスの香りに慣れてきたって事ですな。良い傾向。

ちょいと話がそれたのでもとに戻しますと、ヒングはインド料理をする上では必須と言っても過言ではないスパイス。特に南インド料理をするのであれば頻出です。
南インド料理を作ってあわよくばお店でも出してみたいなんて思われている方はここでヒングをしっかり自分のものにしておきましょう。

お答えするのはいつもの私。仕事に疲れてサラリーマン退職から30代に飲食店での独立、現在南インド料理を作る現役料理人CHAKRA店主のヒロシです。それでは始めましょう~ Let’s Spice!



 

■ヒングってどんなスパイス?

まずは基本的な情報から行きます。
学名は【Ferula asafetida】でスパイスの名前としてはこの学名から【アサフェティーダ】と呼ばれる。サンスクリット語では【ヒング】。日本では【アギ】なんだけど、アサフェティーダやヒングの方が一般的によく使われる。その中でもどっちかって言うとヒングの方が多いかな~?って思うのでうちでは基本ヒングって呼ぶようにしています。

分類学上はセリ科オオウイキョウ属の2年生草木。
原産は南西アジアや北アフリカ。インドへはムガール帝国の進出によって中東からもたらされたと言われている。

このジャイアントフェンネルとも呼ばれる植物の茎や地下茎、主根から採取した樹脂を乾燥させたものがヒング。
一般的には粉末での取り扱いになるが、インドなんかではブロック状で売られていたりもする。ちなみにブロック状のものは私もお目にかかった事がない。誰かインド行ったら買ってきて~。

 

■悪魔のクソなんて言われているがどんな香りや味なの?

さ~てまずは香りですね。
あ~嫌だな~、そりゃ~料理していてそんなに臭くないやん~って思ってはいるけどさ~。香りの確認って事は「悪魔のクソ」に鼻を近づけてのクンクンだもんね~。

なんて事ごちゃごちゃ言っていても始まらない!
よし!嗅いでこよう!

・・・嗅いできました!
最初ちょっと臭いかな~って思いはしたが、何回か繰り返すうちにそのうち全然気にならなくなりましたね。やっぱり臭くないやん~。
そして肝心の香りなんですが、ニンニクのような玉ネギのようなそしてそれが腐ったような酸っぱい香り。そこにかすかだけれど硫黄のような香りも入っているんですよね。

これ何かに似ているんだよな~ってしばらく考えて・・・
思い出しました!
らっきょうです、らっきょう。
らっきょうにニンニクの香りを足した感じ。ニンニクをらっきょう漬けにした香りですね。
ま~でもニンニクでらっきょうなんて作った事ないから本当にそうなのかは不明だけど、予想的には多分こんな感じになると思う。

続きまして味です。悪魔のクソを恒例のそのままパクリです。
ファーストインパクトはなんの味もしないって感じでした。探すとしたら苦みが多少あるかな~位。
そして香りに引っ張られて脳みそは酸味を探しているのですが、舌は酸味を感じないという違和感が面白い。
それからしばらく味を探していると甘味がじわじわと出てきます。これはおそらく口の中の温度に反応して味が変化したものだと思われます。甘味が出てきたらちょい遅れて酸味が来ますね。酸味は香りの時と同じ酸味を感じます。

以上の事からも分かるようにヒングは火入れしてなんぼなイメージですな。口の中の温度(36℃前後)でも味に変化をもたらせるという事は結構低めの温度で反応をするという事ですね。この辺を意識して調理にいかしましょう。

 

■ヒングを摂取すると身体にどんないい事がおこるの?

いいこと?ってのはつまりお薬的な効果の事を言うのですが、でもね~私は医療従事者でもなんでもないんでこの辺は保証は出来ません~。悪しからず。ってな前提で始めます。

ヒングには痙攣を抑える作用があるとされています。鎮静効果もあるとされ、昔はヒステリーの鎮静剤としても利用されていました。
ヒステリーの鎮静ね~。でも怒っている人に悪魔のクソを出して「これ嗅いでみてん?」なんて言ったらよけい怒りそうだけどね~。

後は、お腹の張りに効果があるとされ便秘薬としても使われていますし、第一次世界大戦のころ?インフルエンザの薬としても利用されていたみたいですね~。
この流れでしょうがインドでは気管支炎の薬としても使われていますね。コロナにも効けばいいけどコロナはインドでも大流行したって事実からあんまり効果は望めないかな。

 

■どんな料理に使うの?

ではではお待ちかね。お次はどんな料理に使うのかというお話です。
ヒングはいろんな料理に使われているのですが、特に野菜や豆なんかの料理に相性が良い印象ですね。

具体的にどのように使うのかと言いますと、うちの店での使用頻度としては圧倒的にテンパリングが多いですね。
テンパリングとは油を熱してスパイスの香りを移す行為なのですが、テンパリングを知らないという方は下のリンク先を参照して頂くとして話を進めます。

ヒングは焦げやすいのでテンパリングの最後に加えてざっと油となじませたらOKです。これを前もって調理したものに加えて香りを立たせたりコクを加えます。
テンパリングでヒングを加える料理は代表的なもので言うとラッサム、ダル、サンバルですね。ミールスの根幹ともいえます。それぞれの作り方は下のリンク先より

テンパリングとして使う以外にはワダに練りこんで、揚げることによって香りを立たせる方法もあります。
豆の香りに玉ねぎ炒めのような香りが加わり、奥深いものに変わるので面白いです。特にパクチーを入れたワダと相性が良いイメージですね。ワダの作り方はこちら

火入れせずに使うものとしてはサラダ系ですね。うちではカチュンバルって野菜のサラダ的なものにちょっと入れて異国感を演出しとります。
少し入れるだけなんで全体の味を左右するものではないのですが、あれ?なんか普通のサラダとは違うな~って感じにはなれますのでこちらもおすすめ。

 

■ヒングのまとめ的な話

ヒングについて基本的な情報からどうでもいい情報、料理への使い道なんかを説明してきました。
悪魔のクソなんて先行イメージで使いづらい印象があるかもしれませんが、火入れするといい香りに変わりますし、そもそもそんなに臭くもありません。

私がいつも使っているのは日本では一番メジャーじゃないかな?と思われる白いボトルに入ったやつです。リンク先での料理レシピは基本この白いボトルの物だとお考え下さい。
他にもいろいろなメーカーから発売されているのですがメーカーさんによって香りの強さが変わったりもするのでその辺は少し注意が必要かもですね。

バータイプの物も使ってみたくはあるのですが、扱いも難しそうなので結局パウダーに落ち着くような気もしますな。
というかそもそも日本ではなかなか手に入らないのでインドに行かれる方は現地購入リストに入れといてもいいかもですね。

とまあこんな感じでヒングについて書いてきました。インド料理(特に南インド)をするなら避けては通れないスパイスですので、この記事がきっかけでヒングに興味を持って頂けたら嬉しいです。

 

■今回使ったスパイス

 

 

 

皆様の健康のためご家庭にもっともっとスパイスを

チャクラ 小川

 

 

 

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